カルティエ×sacai「トリニティ」限定ジュエリー、指に着ける前に疑ってみた。本命はネックレスだった

 正直に言って、このリングの説明を読んだとき、「着け方の説明書がいるのでは?」と思いました。カルティエとsacaiの阿部千登勢さんによる「トリニティ」限定ジュエリーコレクションのリングは、2本または3本の指に着けられて、配置によっては最大4本の指にも着けられるというのです。自由度が高いのは分かります。けれど、自由というのは、裏を返せば「正解が分からない」ということでもあります。毎朝、どの指にどう通すかで迷う人も、きっといるでしょう。もちろんこれは発表の内容を読んだだけの私の想像で、実物を手にしたことはありません。それでも、この点を最初に疑っておかないと、このコレクションの本当の魅力は見えてこない気がしたのです。



ただ、疑って終わらせるには惜しいコレクションなのも事実です。


ベースになっているのは、カルティエのアイコンである「トリニティ」リング。ピンクゴールド、イエローゴールド、ホワイトゴールドの3本が互いに絡み合う形で、これをsacaiの阿部千登勢さんが、6型の新しいジュエリーへと作り替えました。内訳は、リングが2型、ブレスレット、ネックレス、4WAYのイヤリング、そしてイヤリングにもリングにもなる一点です。発売は2022年7月7日(木)で、カルティエ ブティック6店舗と、表参道の期間限定ストアでの限定販売でした。トリニティといえば、3本の輪がきれいに重なった端正な姿を思い浮かべる人が多いはず。それをいったんほどいて、ずらして、組み直す。sacaiは服づくりでも、異なる要素を組み合わせて新しい形にすることで知られているので、この出会いには納得がいきます。


私がいちばん心を動かされたのは、ネックレスです。軸をわずかに動かして装着するデザインで、ホワイトゴールド、イエローゴールド、ピンクゴールドの3本のリングが首元を飾ります。トリニティの3本のリングがネックレスになるのは、カルティエとしても初めてだそうです。ここが良いと思う理由は単純で、首元は人の視線がもっとも集まりやすい場所なのに、服の色や形をあまり選ばないからです。白いシャツでも、黒のタートルネックでも、3色のゴールドが並べば、それだけで装いの焦点になるでしょう。ただし、気になる点もあります。軸を動かして着けるという構造は、慣れるまで少し手間がかかりそうですし、ひとりで着け外しできるかどうかは、原文からは分かりません。リングが3本そのまま下がるとなると、重さも気になります。ここは店頭で、必ず確かめてほしいところです。


さて、ここで本当の悩みどころです。限定コレクションを選ぶのか、それとも定番のトリニティリングにするのか。定番は、3本の輪がきちんと重なった端正な形で、毎日着けても飽きにくい、というのが一般的な印象です。一方、このコレクションは、輪が離れたり、位置が動いたりして、見た目の個性がはるかに強い。同じトリニティでも、性格がまるで違います。長く同じ表情で付き合いたいなら定番、少し冒険して自分らしさを足したいなら限定、という考え方が分かりやすいと思います。ただ、限定は数に限りがあり、時間が経つほど手に入りにくくなるものです。そこを「一期一会」と楽しめるかどうかが、決め手になるのではないでしょうか。


ブレスレットは、私の中では少し評価が下がります。



ホワイトゴールドとピンクゴールドのリングが開閉し、イエローゴールドのリングは固定されていて、そのまま手を通して着けるという仕様です。躍動感のあるシルエットは魅力的ですが、手を通して着けるということは、手の大きさとの相性が大事になります。手首は細くても手の幅が広い人だと、通すのに苦労するかもしれません。また、開閉するリングがあるなら、動かすたびに金属同士が触れて、細かな傷がつく可能性も考えられます。机に向かう仕事の日や、荷物の多い日に着けるのは、少し気を遣いそうです。


4WAYのイヤリングも見ておきましょう。2本のリングを耳に着けて、もう1本をぶら下げたり、3本のリングをつなぎ合わせて垂らしたりと、様々な楽しみ方ができる、という説明です。変化が楽しいのは確かで、同じ一組で、シンプルな日と華やかな日を作れます。ただ、ぶら下げるスタイルでは、重さと揺れが出るので、長時間着けて疲れないかどうかが気になります。さらに原文には、ピアスなのか挟むタイプなのかが書かれていないので、耳への着け心地は実物で確かめるしかありません。一方で、イヤリングとしてもリングとしても使える一点は、一つで二役という実用性があり、今回の中ではいちばん堅実な選択かもしれません。


金の色が3種類あることは、服との相性にも関わってきます。ピンクゴールドは肌になじみ、イエローは華やか、ホワイトゴールドは涼しげ。3色が一つに集まると、どんな服にも一色は寄り添ってくれる、という使い方ができそうです。ただし、ゴールドは一般的に柔らかく、傷がつきやすい素材とされています。リング同士が触れ合う構造ならなおさら、保管の仕方に気を配りたいところです。使わない日は一つずつ布に包んでしまう、といった習慣が必要になるかもしれません。金の純度や重さは原文に書かれていないので、ここでは断定できません。


最後に現実の話をします。この限定コレクションは2022年7月7日(木)に発売されたもので、すでに4年以上が過ぎています。限定品ですから、今も購入できるのかどうかは、私には分かりません。気になる方は、カルティエの公式サイトやブティックに問い合わせてみてください。価格も原文に書かれていないので、ここでは触れません。もし選べるなら、私はネックレスを選びます。白いシャツの襟元を少し開けて、3色のリングが鎖骨のあたりで静かに光る。袖は少しまくって、腕には何も着けない。そのくらい引き算した装いに、このネックレスだけを置いてみたいです。

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